久日ぶりに土曜日にカールさんがやってきたんだけど・・・・
記憶がゆっくり時間をかけて悪化している気がする。
ドクターにもそう言われたんだって。
でもドクターが希望を失わないために励ましてくれているのか
「これもよくなっていくためのプロセスだから。」
と。
平日だけでなく週末もセラピー(リハビリ)があり、土曜日は3時ごろにやってきた。
とてもお天気が良かったのでサンドイッチでも持って公園へでもピクニックに行こう!と誘うつもりでいたら、彼の方から
「テニスをしにいこう!」
と言い出した。
どうやらドクターから以前やっていたことを続けなさいと言われたらしい。
脳梗塞を起こしてから初めてのテニス。
私も彼の身体がどこまでテニスを覚えてるのか見てみたかったし、テニスをすることで記憶を少しでも取り戻せるきっかけになるかもしれない?!と思ってたから大賛成。
久しぶりにしまいこんでたテニスラケットを取り出してきて、以前よくレッスンをしてもらってた近所のテニスコートへ。
もう「教えてもらう」ということはできないけど、ボールの打ち合いをやってみたところ、彼のボールを打つフォームや返し方が以前と変わっていない。ちょっとホッとした。
テニスのルールも何も忘れちゃったみたいだけど、私にルールを聞きながら少しの間、昔のように一緒にテニスを楽しむことができた。
偶然隣のバスケットコートでご近所さんの若いカップルがバスケットをしていて、途中からアーニーを可愛がりにきてくれて退屈にしてたアーニーも大喜び。
その後、テニスコートの裏にある野球場で少年野球の試合をやっていることに気づき、「観たい」というので試合観戦に参加。
野球のルールも覚えていないので、周りの方々に質問しながら真剣にゲームに観に入ってた。
記憶がなくなっても性格は変わらないし、スポーツ好きも変わらないようだ。^^
その後アーニーの散歩をして川辺でまったり過ごして帰宅。
カールさんは退院してから初めて屋外でゆっくり楽しい時間を過ごせたようでとても喜んでくれた。
入院してから毎日セラピー(リハビリ)と検査とテストの日々。
一日3~5時間のセラピーによる疲れと全身の痛み、ひどい頭痛と、必死で記憶を思い出す努力をしても全然思い出すことができないストレスで、「朝になって目が覚めたときに元の自分に戻ってたらいいのに。」とか「死ねるものなら死にたい」とまで今では愚痴をこぼしている。
帰宅する頃にはもうテニスをしたことも、いつうちにやって来たのかも覚えていなかったけれど、その瞬間その瞬間を楽しみ、身体の痛みや不自由、あるいは記憶のことを忘れることができるような楽しい時間を過ごしてもらえたら本望だし、それが唯一私が彼にしてあげられるわずかなサポート。
夜は彼の大好きなチキンのドラムスティックを焼肉風味でオーブンで焼いたら大喜びで食べてくれた。用意しておいたデザートのアイスクリームも嬉しいサプライズだったようでこれも喜んでくれた。
入眠2時間前に痛み止めを服用したにも関わらず夜中に頭痛が悪化し、隣の部屋から呻き声が聞こえるほど痛みでのたうち回ってた。
私もすぐにベッドから出て彼の部屋へ行き、こめかみとおでこにペパーミントのアロマオイルを塗ってあげ(気分的に頭痛が緩和される)、それでも辛そうだったので、昔よく熱を出していたころ、日本からやってきた妹3が大量の子供用「冷えピタ」を置いていってくれたので、それをおでこに貼ってあげたら数分で寝付けたらしく、すぐに寝息が聞こえてきた。
こんなことしかしてあげられないけど、彼を見ているのも彼の話を聞いているのも辛い。
ドクターが言うように記憶に関しては、悪化しているけれど、それが回復のプロセスであることを願うばかりである。
日曜日の今日はお天気があまり良くなかったけど、雨が降るまでアーニーの大好きな川辺の公園でブランケットと椅子を持って親子三人でのんびり。
カールさんはずっとリハビリの宿題に追われていたけど、お父さんが大好きなアーニーはお散歩よりもお父さんとずっと一緒にいたい、という気持ちのほうが強く、一緒にいてもらえるだけで嬉しそうだった。
せめてうちに泊まってもらうときくらいは美味しくて(美味しいんだか知らんけど。笑)栄養バランスのとれた食事を食べてもらい、家族の楽しい時間を過ごしてもらえたら・・・
それが回復のお薬になってるといいな。